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2009年02月08日

Simon&Garfunkel『明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)』

text by 福岡智彦

ま、おそらく30代以上だったら知らない人はいないくらいの超有名曲ですが、1970年、大阪万博の年に発売、つまりボクは高校1年&16歳。ボクにとってはまさに青春の思い出とともにある貴重な曲です。

実はボクはこの曲を、テレビドラマのBGMで知りました。音楽誌なんて読まなかったこともあり、音楽を系統立てて探す&聴くということがなく、ただ行き当たりばったりラジオやテレビで出くわした曲を好きになって買うだけという時代でした。まぁ今もあまり変わらないけど。

そのドラマはたぶん「おはよう」というタイトルで、若尾文子主演で堺正章も出ていた、ということぐらいしか憶えてないのですが、TBSの水曜劇場シリーズ、「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」を生んだ、王道大衆ドラマ枠の中のひとつでした。なぜそこに洋楽がBGMとして使われていたのか不思議ですが、その違和感が反ってとても印象的でした。たまらなくいい曲だと感じて、もちろんタイトルも何も判らなかったと思うんですが、どうにかして探し出して、シングル盤を買いました。同じドラマに『コンドルは飛んでいく』も使われていて、そちらもシングルを買いました。

でも、ネットで調べると、「おはよう」は放映期間が1972年7月5日-1972年10月25日となっています。それだとボクは高校3年になっているんですが、そんな遅くはないはずです。
なぜかというと、高校2年のときにつきあってた同級の女の子に、ボクはこの曲を聴かせて、
「この歌詞をよーく味わって、人に尽くすということを考えろ!」
なぁんてえらそうに言ってたからです。
「おまえが考えろ!」
と、今なら自分につっこんでしまうような恥ずかしい行為を、若気の至りとはいえ、忘れようとして忘れられません。

なのでひょっとしたら同シリーズの、1970年9月2日-1971年1月13日で放送された「こけこっこー!」かもしれません。これにも若尾文子と堺正章が出ています。……でも「おはよう」というタイトルは相当記憶に残っているんだけどなー。

ところでボクは軽度のオーディオ・マニアでもあるんですが、そのきっかけになったのが実はこの曲だったりします。
シングルを買った当時の再生環境はボロい電蓄(と言っても若い人には判らないでしょうか。要はアンプ、スピーカー一体型のレコード・プレーヤーです)でした。
その環境では、3コーラス目から登場する低音パーカッション、平たく言えば大太鼓のドーンという音がほとんど聞こえなかったんです。
もう少しマシなのが欲しくて、長岡鉄男さんの本を読んで、アンプとスピーカーを自作しましたが、それで初めて3コーラス目の大太鼓の存在を知りました。びっくりした。そしてオーディオ装置の違いで音が全然違ってくることに俄然興味を持ちました。
それ以来、オーディオをグレードアップする度に、この曲の大太鼓の聞こえ方を確認するのが儀式となりました。それはだんだん、ふくよかに気持ちよく聞こえるようになっていったのです。

これを書きながら久々に聴いてみましたが、なんだかオーケストレイションの広がり感がちょいと物足りませんでした。他のCDではもっと”鳴る”装置なので、オーディオの力不足ではなく、元の音源のクオリティの限界かと思いました。なんせ40年前の音源ですからね。
でも、CD自体がずいぶん前に買ったものなので、アナログを取り出しました。最初に買ったシングルはもうありませんが、ベストのLPがあります。
そしたら案の定、アナログのほうが全然音がよかった。なぁんだ。
初期のCD(80年代?に製造されたもの)は音質よくないです。

最後に、改めて、邦題がよいですね。
原題は「Bridge Over Troubled Water」。直訳すると「荒海(川)の上の橋」ですが、それを「明日に架ける橋」と。歌詞の内容からすると「君のために」とかなんとか、愛情表現的な言葉が出てきそうなものですが、それを「明日に架ける橋」とすることによって、崇高な、壮大なイメージが出ています。曲のスケールの大きさをさらに広げていると思います。
おそらく当時のCBSソニーの洋楽ディレクターが考えたんだと思いますが、もちろん給料だけしかもらってないでしょう。洋画もそうですが、すばらしい邦題には印税あげたいくらいですな。





福岡智彦(フクオカ・トモヒコ)大阪府出身 さそり座 AB型
渡辺音楽出版〜エピック・ソニー〜ソイツァー・ミュージック〜ロビン・ディスク
音楽制作ディレクターとして、
山下久美子、チャクラ、太田裕美、GONTITI、くじら、PINK、土屋昌巳
遊佐未森、小川美潮、Killing Time、eEYO、明石百夏、Convex Level、
松谷卓、こながやひろみ、梵鉾、河井英里、南烏山六丁目プロダクション等を担当。
21世紀に入ってからは、主に音楽配信業務に携わる。
2004年 ソニー・ミュージック退社 音楽配信サイト「recommuni」の設立に参加。
2007年 バウンディ入社 現在に至る。



posted by 「HEART×BEAT」事務局 at 08:03| Comment(0) | 一曲入魂 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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